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教頭先生の事情 19

 J駅近くの書店で時間をつぶした後、エイブは阿川のマンションのインターホンを鳴らした。

「来てくれないかと思ったよ、あがってくれ」

 麻のシャツを着たカジュアルな姿の阿川が玄関に現れた。

「いや、ここでいい」 

 目を合わさずにエイブが言うと、阿川の表情が曇った。

「もうプライベートでは会わない。それを言いに来たんだ」

 わずかな沈黙の後に阿川が口を開いた。

「恋人ができたのか。あんなに私を煽っておいて」

(別にトシと付き合ってたわけじゃないか)

 阿川の物言いにエイブはむっとした。

「何だよ、恋人を作れって言ったのはあんだだろう」

「そうだったな」

 苦笑いを浮かべて阿川はエイブから視線をそらした。

「それに…トシだって若い男といたじゃないか」

 嫉妬しているようで嫌だったが、エイブの口から思わずそんな言葉が出た。

「あれは私の息子だ。年に一度だけ会うことにしている」

(息子?)

 エイブは数年前阿川が離婚したことを思い出した。玄関の天窓から差し込む夕日が阿川の顔に暗い影を落とす。

「ごめんなさい、そんなつもりじゃ…」

「お前に恋人ができたんなら、私の役目は終わりだな」

「待って!」

 背中を向けようとした阿川にエイブが抱きついた。

「あんたはレイの代わりなんかじゃない。それに一緒にいた男とは何もなかった」

「別に気にしていない。お前の好きにすればいい」

 突き放されるように言われてエイブは体を離した。阿川に振り回されている自分が情けなくなった。

「何でわかってくれないんだ。こんなにあんたが好きなのに…」

 エイブの足元にポタポタと涙で染みができていた。

「トシが優しくするから、僕は勘違いしたんだ。いつか好きになってくれるんじゃないかって」

 唇を噛んで拳を握り締めた。

「でももういい。あんたのことなんて忘れてやる…いくら想ったって振り向いてもらえない相手なんて嫌なんだよ!」

 そう叫んで玄関から出て行こうとするエイブの腕を阿川が掴んだ。

「待てエイブ」

「離せよ、セックスの相手なら僕じゃなくたっていいだろう」

 阿川はエイブをドアに押し付けた。

「ん…っ…」

 唇を奪われて、エイブは思わず声を漏らした。初めはついばむように触れていただけだったが、徐々に味わうような深い接吻に変わっていった。

「私はセックスだけの相手とキスはしない」

(本当なのか…?)

 エイブはまだ半信半疑だった。

「私といて本当に後悔しないか」

 涙で潤んだ目をしたエイブを見つめる阿川の表情は穏やかだった。

「好きだって…言ってるじゃないか」

 阿川がエイブの涙を指でぬぐう。沈みかけた夕日が差し込む中、しばらく二人は玄関で抱き合っていた。


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Comment

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きゃあ〜
うきゃ〜
どうなっていくんだろうとハラハラしておりましたが、ここに来て
この先は・・・
むふふふふふ・・・・・・←スケベおやじみたい・・・^^;
riri | URL | 2008/08/25/Mon 06:01[EDIT]
ririさん>
これからむふふな展開に(*´ェ`*)ご期待ください。
tategoto910 | URL | 2008/08/25/Mon 19:26[EDIT]
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| | 2008/09/03/Wed 09:40[EDIT]
また同じタイプミスしてますね…度々ありがとうございます。
tategoto910 | URL | 2008/09/03/Wed 18:51[EDIT]
ようやく
教頭先生って悪い人じゃなかったんですね。
やっと床に着ける展開になったので、安心(?)して眠れます(^-^*)
エイブ良かったね。
また、続き読みにお邪魔します。早く、リアルタイムで読めるように追いつきたい。
| URL | 2008/10/30/Thu 11:04[EDIT]
葵さん>
ここまで読んでくださってありがとうございます。感謝感激ですm(. .)m
教頭先生は1万ヒット感謝企画でまた登場させたいと思います。しばしお待ちください…
tategoto910 | URL | 2008/10/31/Fri 07:59[EDIT]
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